予定通り沖縄に引っ越してきました
2年前まで働いていた職場に戻ります
常勤は4月からになるので、3月までは非常勤として当直の仕事をやっていく予定です
で、先日早速1回目の当直に入ったのですが
86歳 女性、COVID-19っぽい肺のCT所見がある大腸穿孔の症例
が救急外来にきました
肺の所見に関わらず、腹部は緊急手術の適応であり、私はその時の外科当直であり
感染対策をフルで行った状態で手術をしました
全身状態も悪く、救命できるかどうかわからないぎりぎりの状態
成人の腹部手術なんて約2年ぶりでしたが
以前一緒に働いていた上司と2人で手術をしました
手術自体はなんとか大きな問題なく終えましたが
高齢であることや、穿孔後来院までにそれなりに時間が経っていたこと(+肺炎)などが影響し
術後数日で多臓器不全で亡くなってしまいました
高齢者の大腸穿孔は医療者がどんなに頑張っても救命困難な場合も多く
こういう経過を辿る患者さんも少なくないです
ただ、今回書きたいのは大腸穿孔の治療自体ではなく
COVID-19が疑われる場合の緊急手術適応患者についてなので
以下、それについてです
治療の際に行ったこととしては
・院内PCRで新型コロナウイルスは陰性であったが、偽陰性の可能性もあると考え、感染対策はfullで行う
・手術には全身麻酔が必要となるが、気管挿管などの麻酔導入時にウイルスが排出される可能性があるため、導入は感染対策を万全におこなったICU(HCU)で行い、その後手術室に入室する
・麻酔導入は必要最低限の人員で行う
・手術の際は、感染制御のためキャップやゴーグル、N95マスク、ガウンを着用した上で、サージカルガウンを着用、手洗いを行う(=手術中めちゃくちゃ暑い)
・術後も患者の周囲はカーテンで仕切り、カーテンの中に入るには完全防護が必要(=医師が気軽に近づいて診察したり呼吸器条件を変更したりできない)
などなど、とても大変でした
手術時間は2時間強でしたが
麻酔導入からICU帰室まで、実質6時間ほどかけて処置をおこないました
その間の病棟のコールには対応できず
救急外来からのコンサルトも対応できず
ひたすらつきっきりで診療していました
その後夜間も数時間おきに採血結果を確認し
輸血や薬剤調整などを行う必要があり
大学院休学で外科の仕事からしばらく離れていた身としては
かなりの疲労感を感じました
正直、COVID-19患者の対応に外科が関わることはあまりなく
気管切開の際に出番があるくらいだと思っていたのですが
(むしろ、感染対策のため日常の診療は制限され、業務負担は軽くなることさえあったはず)
COVID-19疑いの手術適応患者が1人来院するだけでこれだけの人数と時間をとられてしまうのか
そりゃあ医療崩壊するな
と実感した次第です
今後こういったシチュエーションは増えていくと思われますが
この対応を続けていかなければならないのでしょうか
いい落とし所はあるんでしょうか
終わります