連日コロナのことばかりでやってられない感じですが
今日はそれとはちょっとはずれた話
でも、コロナ禍の社会、いわゆるアフターコロナやらウィズコロナやら言われてる社会とは関係あるはずです
ちょっと前から評価経済とかいう言葉が言われ出して
最近キングコング西野さんがキャラ経済というものを言い出してて
ビジネスの世界では少しずつ浸透しているような気もしています
貨幣経済から評価経済、信用経済へと徐々にシフトしていっている
そして、今後キャラ経済なるものが来るのではないか、という感じのやつです
まあ詳細な説明は西野さんのブログとか読んでもらえればいいと思いますが
要は
いくら金を持っているか、どんな肩書きを持っているかとかではなく、より人間としての魅力がものを言う社会
ということでしょうか
貯金の額や月収、学歴とか論文の功績とかではなく
よりハイコンテクストな人間の評価に重きが置かれることになるのでしょう
今までは
勉強して偏差値の高い大学に行って有名企業や大きな医局に属していれば一生安泰
という感じだったかもしれませんが
これからはそうも言ってられなくなるでしょう
いや、確かにこれからもしばらくは
有名企業や大きな医局に属しているステータスである程度安定した生活はできるのでしょうが
あんまり楽しい人生は送れないんじゃないかなと思います
僕は医者なので、医療の世界のことしかわかりませんが
このキャラ経済の「キャラ」なるものは
医者の世界でまともに評価されることは皆無です
キャラはおろか、診療技術、手術技術が評価されることもめったにありません
(一部、ナンチャラ専門医・認定医の取得の際に、手術ビデオの提出を求めているものもあり、その要件をクリアするためには高度な手術技術を求められるものもあります)
そもそも手術というものは
どんな初心者でもトレーニングを積めばできるようになる手順で行われなければなりません
「誰々しかできない手術であり、他の人がやったら失敗する可能性が高いです」
というものは、手術手技として成立しません
そうしなければEBMが成り立たないからです
誰がやっても大体同じ内容にならなければ
「この手術をやった場合の治療成績」としてデータを同等に扱えません
だから、手術が上手かどうか、というのはあまり評価の基準にならなくてもいいでしょう
(まあ、この「手術というものは基本的に誰がやっても大体同じ内容にならなければならない」という前提も早晩崩れると踏んでいますが、今回はそれは置いときます)
じゃあ外科医はどこで評価されているのか
それは学会発表と論文です
「誰々は〇〇という疾患についていくつも論文を書いていて、それが⬜︎⬜︎という医学雑誌に掲載されているし、△△という学会で発表しているすごい人だ」
というのが外科医としての評価です
ここで重要なのは、この人の診療態度とか人間性みたいなものは、まったく評価に含まれていないということです
確かにいくつも学会発表や論文投稿をしていれば
その疾患に精通はするでしょう
ただ、患者目線に立った場合
その医者がいわゆる「いい医者」かどうかはまったく無関係です
データをたくさん持って把握しており、分析能力もあるのでしょうが
その医者自身の診療が丁寧か、本当に患者のことをちゃんと診ているのか
などは加味されません
患者の皆さんは「〇〇先生は何々という疾患の権威だから」ということで特定の医者の元に集まったりしますが
そこで行われているのが優れた治療かどうかは別問題なわけです
僕はちょっと前までがんの患者さんの主治医として手術や化学療法をやっていたこともありましたが
その時の経験からも
「いかに患者と真摯に向き合い、適切な治療を選択して行なっているか」
がやはり医者としてもっとも評価すべきポイントだと思っています
一般のみなさんからすると当たり前のように感じるかもしれませんが
医者の世界ではここの評価はまず話題になりません
おかしいと思いませんか?
「そんなことはできて当然」ということで評価されてないのかもしれませんが
今の権威と呼ばれるじじいども、およびそれに追随する人たちは、自分はできているとでも思っているのでしょうか
大企業が顧客のニーズを読まずに業績だけなんとか伸ばそうとしているのと同じように感じます
医療の世界でも大規模な変革が起こるんじゃないかと
というか、起きなきゃいけないんじゃないかと思います
医者個人をきちんと評価するシステムが必要です
もちろん、学会発表や論文投稿を行うため、研究は研究で必要だと思います
それらはそれらで評価されるべきでしょう
しかし、臨床医の評価はそれでいいんでしょうか?
長くなったのでこの辺で終わります